ブログ選集

君に届け

覚えているかな

シャッターを開けて中に入って語り合った日のこと

目に見えないものを、必死で見ようとして、
辿り着いてないところに、必死で辿り着こうとしてたね

広いと思ってた空間も、
「ここに、これを置いて・・・」ってチョークで印を付けてたら、
びっくりするくらい狭くなっちゃったよね

コンクリートが剥がされ、電気工事が始まり、
「ドクン」と鳴った心臓の音が、全ての始まりの合図だったんだ

まだこの頃は、これから起こる悲惨な数年間を、
誰も思い描けてはいなかったよね

なんかね、気のせいかシュクレクールが嬉しそうだったよ
弟か妹でも出来ると思ってたんだろうね

とりあえず外観の輪郭だけ出来た頃。

貼り紙してまで「11月中旬」というアバウトさ。
しかも( )の中には更に(未定)と駄目押し。僕ららしいよね。

中の工事に入った頃。こっちは厨房。差し込む光は入り口から。

そして、こっちは反対側。つまり現在の「お店」部分。

外観も、イメージ出来るようになってくると、
楽しみと怖さと混在するような不思議な気持ちだったのを思い出すよ。

厨房も区切られ、それっぽくなってきたかな。

ここらへんからかな、厨房が急ピッチで輪郭を現してきたのは。

オーブン上のフードの取り付け。
これを見て初めて「あ・・・シュクレが暑いのはコレ無いからだ」

って気づいたよ。

表に天然石のタイルが。
イメージが形になっていく実感が湧いてきたのは、この辺りからかな。

内側も同様に。

こうしてキレイに貼ってから、
隙間を埋めて、更にボカして今のモンテベロの風合いが出来たんだったよね。

幾多のお客さんの足を阻み続けた怪しい通路もまだ初々しく。

工務店さんも、デザイナーさんも、電気屋さんも、
お金が無い僕の為に本当にアイデアを絞って、
「良いもの」を作ろうと一生懸命やってくれてたね。
暗くなっても勤しんでくれてたのは、

普通の金具をアンティークっぽく見せる加工。
本当のアンティークの、買いたくても買えなかったもんね。

こうやって、本当にいろんな人に助けられて創り上げられたお店。
みんなそれぞれ大変だったから、みんなそれぞれに思い入れがあって、
そのみんなに「後は、はしもっちゃんが頑張るだけやからな」って、
重たいバトンを渡されてたね。
何度も落としかけたそのバトンを、いや、何度か落としたりもしてたけど、
その度しっかり握り直して諦めず走ってきたから今がある。
そして今。立派にそのバトンを繋いでくれた君を誇りに思います。心から。

多少、余裕を持ってたのも束の間、
やっぱり厨房がその姿を露にしてくると、
弥が上にも緊張感と焦りが高まってきたよね。

待ったなしで運び込まれる冷蔵庫。

オーブンも入ってきた。

初めて電源が入った瞬間。
ここから数えきれないくらい多くの想いを焼き上げたね。

外観も急ピッチに工事が進んできたよ。

ダメだった頃も、変化の兆しが見え始めた頃も、そして今も、
偽りない太君自身に光を当て続けてきてくれたショーケース。

最初は5、6種くらいしか並べれなかったこと、
今来てくれてるお客さんの、一体何人が知ってるんやろ。

ここがあらゆるドラマが繰り広げられ、太君の成長を掌る舞台になったんだ。

同時に家具も入っきて、俄然「店らしく」なってきたよね。

この頃、僕が描いていた「パティスリー」。

君は僕に、それ以上のとてもとても素敵な画を見せてくれました。

店の一番奥にショーケースが陣取るという変わった店やけど、
全ては陽射しが西からしか射さないことが原因。
モンテベロは最初から「ステンドグラスありき」の店作りだったからね。
この日は遂にそのステンドグラスがはめ込まれる日の様子。覚えてるかな?

この日まで何度もミーティングを重ねて出来上がったステンドグラス。
作家さんが持ってきてくれた現物を見るのは、この日が初めて。

この工事始まって以来の緊張感が走る店内。懐かしいね。

度肝抜かれた金額、落としたらシャレにならんと皆手が震えてたよね。

恐る恐る、そ〜っと、そ〜っと

モンテベロの核と成る息吹と店内を彩る表情がはめ込まれたところです。

ステンドグラスに光が通ったこの瞬間、鳥肌が立ったのを覚えてるよ。

ステンドグラスの設計図も、記念に載せとくね。

照明も一緒に作ってくれて、

廊下にも電気が灯り、

京都から、一緒に探しに行ったテーブルセットも届いた。

そして最後に付けられたのが店名やったね。

最初、みんな「?」って顔してた、この店名。
「『ケ』で切るんですか・・・?」とかね。
シュクレはいっぱい候補を上げて考えたんやけど、
モンテベロに関しては、なぜかこの名前しか浮かばなかったなあ。

そうこうして迎えた運命のオープンの日。

本当にたくさんのお花をいただき、たくさんのお客さんに並んでもらった、
表向きには華々しい初日やったけど、
目を背けたくなるくらい悲惨な現状としての記憶が90%以上を占めてるわ。

本当のスタートはここからだったね。
お互い、本当にいろんなものを擦り減らしながら、
まさに無我夢中で必死に過ごした一年間。
二年目に、もう一人の大事な戦友のフランス行きをきっかけに自覚が生まれ、
三年目に、完全に覚醒したと実感したよ。
それまでにも美味しいお菓子は幾つもあったけど、
僕がもう何も言う必要が無いと思い知らされたのは「マール ショコラ」。
太君の内側の深いところから出てきたような本質を突いたガトーで、
「遂に本当の意味で、岸部からフランス菓子が生み出されたか・・・」
そう思ったのを覚えてるよ。嬉しかったなあ・・・。

書き綴るにはキリの無い濃密な時間となった4年とちょっと。
そして、そこに一つの区切りをつける日が遂にやってきたね。
大きな扉を開けて一日が始まり、大きな扉を閉めて一日が終わる。
そんな毎日をずっと繰り返してきたわけやから、最後の閉店の際は、
君に挨拶してもらってから扉を閉めてもらおうって決めてたんよ。

相変わらず下手な挨拶だったけどね。

真っ新だったモンテベロも雨風に晒され、
それなりの雰囲気を醸し出すようになりました。
全ては君と過ごした4年とちょっとの歳月の中で生まれた変化。
苦しい時、いっぱいあったね。
悲しいときも、いっぱいあった。
でも、喜びもたくさんあったし、何より楽しかった。
君のおかげで、シュクレだけじゃ得れない経験が出来たし、
シュクレだけじゃ出会えなかったお客さん、
そしてかけがえの無いスタッフたちとも出会えうことが出来ました。

そして正直、君と今のような関係が築けるとは思ってなかったよ。
本当は・・・それが一番嬉しいのかもしれない。
「人」をあまり信じれず、他人に期待もしない、
そもそもあまり人自体好きじゃないから友達もいない僕が、
「大好きだ!!」って思える人に出会わせてもらえたこと、
これに勝る喜びがあれば教えて欲しいくらいです。

上手く言えないし、どれだけ言葉を並べても足りないし覚束ない。
こうなるのはわかってたから、
あえてたくさんの懐かしい写真を並べさせてもらったよ。
振り返りながら、共有してきた時間をもう一度共有しながら、

伝わるかな。
伝わったらいいな・・・。

君に届け。
ありったけの

ありがとう!